デリー空港に到着し、映画のワンシーンかのような荒々しい車の運転と騒音を20~30分ほど堪能して着いた宿街。
日も暮れて街は夜の顔を見せようと準備しているのか、もともとこの街の特色なのか、インドのデリーは慌ただしくモワッとした空気に包まれていました。
インドに来たんだなー。(*´∀`) とゾクゾクわくわくしていると、
「ワンッワンッ!!」
と、そこらには夜と共に活動をし始める野犬の姿が。
(わわっ、こわいこわい!)
インドでは夜になると犬の狂暴さが増すと情報があったので、さっそく目の当たりにしながら私は狂犬病の予防を怠ったことにいささか後悔して適当な宿に入りました。
インド初日ということもあり、安宿ではなく割りと良いホテル(日本円で3000円ぐらいか)にチェックイン。
バックパックをベッドに放り投げ、併設されたレストランで食事をとり、この日はすぐに寝ました。
明日からのインド生活に期待を不安を思いっきり胸に抱きしめながら。
そして2日目。
インド旅行2日目。
明くる朝、今日はデリー駅に向かい東行きの電車のチケットを買おうかなと出掛けました。
昨日の夜とは打って変わり、明るいデリーの街はまた違った活気に満ち溢れている、そんな朝でした。
インドの地球の歩き方を片手にぶらぶらと歩いていたところ、どうやら私は地図を読み間違えていたらしく逆方向に進んでいて、気がつくとスラム街のようなところに。
道は泥とゴミであふれ、そこに住んでいるインド人がこちらを見ています。
……。
いや、私も日本で生活していると、家の目の前に外国人が横切ると「外国の旅行者かー」と、なんとなく見ないこともないのですが、
それとはなにか違い、な、なんだろう、人の目が、その場所が、今立っているその空気までもが、ギラッギラしていて……
あれ? とふいに辺りを見回すと、
360°全方角から、鋭い視線が、ここに、私に!
(めっちゃみられてるー!!!(゜ロ゜;ノ)ノ)
大丈夫だろうけど大丈夫じゃないかもしれない。
自意識過剰なだけだろうけど、そう思いたい。いやなんか大丈夫じゃない、これは危険信号と本能が感じているんじゃないの?大丈夫なのか!?
(こここれはヤバい、ヤバいぞうっ)
もうその場所、その時間すべてが殺伐とした雰囲気をかもし出していて、今まで歩いて来た道をとりあえず引き返そうと思ったところ、右斜め後方から声が。
「ドコイクー?」
私か!?(゜Д゜≡゜Д゜)?
インド人に初めて声をかけられました。
どうやら危ない人ではなく、オートリキシャ(バイク型のタクシー)に乗らないかという話。
(インドでは、こういう声掛けが日常茶飯事)
とりあえずデリー駅に行きたかったのでカタコトの英語で伝えると、どうやら伝わった様子。
(オートリキシャの後ろ側の写真)
「デリー駅なら問題ない、さあ乗ろう!」と誘われオートリキシャに手招きするインド人。
これに乗ると、今日の目的のデリー駅に行くことができるのか!よかったー!!
と声をかけられたことで、いささか安心したものの鉄壁のガード精神が私の心をガシッとつかみます。
(しかしだな、、、)
私は、私は知っているぞっ。
インド人は、インドという国は、お金を騙す人や嘘つきが多いということを。
もちろん誰もがみんなそうではないし、文化の違いがあるので善悪で判断できることではないけれど、日本人の常識の範疇で自分を守りたいなら、とりあえず全員嘘をついているぐらいには用心した方がいいという情報を得ていたので私は身構えた。
(ここで、このオートリキシャの誘いに応じてデリー駅に行くべきか。いや、ぼったくられるんじゃないだろうか……。)
ほんの数秒だったとは思いますが、私はこのときインドに来て初めて真顔で考えました。
もう時間の概念を凌駕するほどに、たった数秒で、この先数ヶ月後の旅のことまで。
これに乗らなければ、いつ乗るんだろう。
いつ、私はインドの主要な移動手段であるオートリキシャを利用するのだろう。
そんなことを考えた後、インドに来た理由は「インドを楽しむためだった」と気づきました。
私は「本当に50ルピーか?ほんとに? もしそうじゃなかったら払えないから!」
そんなことを口酸っぱく言ったかもしれません。
……乗りました。
私はオートリキシャに、初めて 乗った。
もしかしたらインド旅行で出鼻をくじかれるかもしれない不安を、大きな不安を強制的に楽しみに転換しながら乗った。
そして、ずっと言い続けていました。
「50ルピーでデリー駅だよ!ほんとに50ルピー、もしそれ以上になっても払わないから、50ルピーだから。」
これは50ルピーとか、それ以上払わないとか、お金にこだわっていたのではありません。
初めてのオートリキシャにビビって、ただ不安を消したかったからに過ぎません。
そしてオートリキシャに乗り10分後、到着。
そこはデリー駅ではなかった。
なんでや!
続きます。
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